会社から帰るときに妻からラインがあった。晩御飯は子供と食べに行きますので自分で済ませてくださいということだった。

 子供は小学校6年と4年の息子二人だ。私はなぜ自分は誘われなかったのだろうと少し考えたが空しくなりそうなのでやめた。

 しかし、好きなものが食べられると考えると少しだけ楽しくなってきた。私は昔はよく行っていたすし屋に入った。ビールを飲み寿司をつまんでいるとなんともいえない高揚感を感じた。ただ食事をしているだけでなぜこんなに楽しい気分になるのか。明らかに家で食事をするときよりも楽しい気分になっていた。

 家族のことは愛しているとは思っている。一緒に食事をするのも楽しいとも思っている。

 しかし、妻にも子供たちにも異常に気をつかっているように感じる。家族といても特に心が休まることはないのかと考えると嫌になってきそうだ。しかし、現実は疲れている自分もいる。

 今この瞬間だけは誰に気をつかうわけでもなく、食事と酒を楽しむことができる。食事と酒に集中することができているのだ。

 家に帰ると妻が飲んできたのと聞いた。少しというとまだ飲むと聞いてきた。私は少しだけ日本酒を飲むことにした。 

 妻とする晩酌はなぜかその時はひときわ楽しく感じた。